2011 年 3 月 21 日の記事

平成22年国勢調査結果速報値の分析(大阪市)

Posted by kiri on 2011 年 3 月 21 日
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東北関東大震災の影響があったり、3月末に出る本の校正作業があったりして、ちょっと忙しくしていたら、大阪市のウェブサイトに、平成22年(2010年)国勢調査結果の小地域集計結果が公表されていた。

http://www.city.osaka.lg.jp/shisei_top/category/1756-4-1-4-0.html

1995年から2005年のデータも公表されているので、それらを簡単に分析・地図化してみた。

大阪市町丁目別人口増加数(1995~2010年)

大阪市町丁目別人口増加数(1995~2010年)

1995年から2010年の間の人口増加数

市全体からみれば、環状線の内側および市の北半分での増加が顕著である。この間に、いわゆる人口の「都心回帰」現象を受け、市の人口は6万人ほど増加している。特に西区(堀江などの都心寄り)、福島区、西淀川区、淀川区などで増加している。なかには、都島区善源寺町2丁目や城東区今福西6丁目、此花区島屋6丁目など、3千人以上の増加があった地区もある。これらの人口激増地区は、工場や倉庫等があった大きな土地に大規模マンションが建設された地区であり、2005年時点では人口が0であった此花区島屋6丁目の人口は、2010年には3,164人となっている。

一方で、人口の減少は、東淀川区や生野区、西成区、大正区、住之江区の南港などで顕著である。住之江区南港のうち、ポートタウンの中心をなす南港中2~5丁目の人口は軒並み減少を示し、合わせて7千人ほど減少した。入居開始から30数年が経過し、子供の独立や高齢化の急速な進行が人口減少の原因と考えられる。

5年ごとの人口増加率(1995~2010年)

大阪市町丁目別人口増加率(1995~2000年)

大阪市町丁目別人口増加率(1995~2000年)

大阪市町丁目別人口増加率(2000~2005年)

大阪市町丁目別人口増加率(2000~2005年)

大阪市町丁目別人口増加率(2005~2010年)

大阪市町丁目別人口増加率(2005~2010年)

次の図は、それぞれの期間の人口増加数を期首年次の人口で割った人口増加率を示している。基本的な傾向は、人口増加数の場合とそれほど変わらない。やはり環状線の内側を中心として人口増加が顕著である。興味深いのは、2000年代以降に、それまで人口の減少が著しかった中央区の西部で人口増加に転じた点である。期首年次の人口が少ないため、増加数としてはそれほど多くはないと考えられるが、大阪の中心業務地区(CBD)の中核をなす、淀屋橋から本町にかけての御堂筋沿いでの人口増加は注目に値しよう。古賀(2007)が1990年代後半の京都に関して報告したように、オフィスからマンションへの土地利用の転換が進んでいるのかもしれない。

現在、日本の六大都市(東京・横浜・名古屋・京都・大阪・神戸)に関して1920年の第1回国勢調査から1990年の国勢調査までの小地域統計のデジタル化も進めているので、それと合わせて、数十年のスパンで変化をみると、都市内部での人口増減の空間的なサイクルなどが見えてくるものと考えられる。少なくとも大阪市には関しては今年度中にデータの整理を終えることができるので、町丁目の変更に注意しながら、今後、分析・地図化を試みたい。

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