ArcGIS Online 組織向けプランの感想①iPadとスマホでフィールドワーク

Posted by kiri on 2012 年 12 月 12 日
GIS, Web, 地図

ArcGIS Onlineには組織向けプランというのがある。個人向けとの機能の違いは、フィーチャサービス(Feature Service)が使えたり、Esri Maps for Officeが使えたりする点にある。前者は、早い話がArcGIS Serverに似た機能をWeb上で提供してくれる感じのもので、後者はExcel上でGISが使えるというもの。今のところ、組織向けプランを利用するには、ArcGIS 10.1のサイトライセンスがあればその管理者に聞けば使えるだろうし、あるいは30日間のトライアル版のアカウントを作ることでも使える。トライアル版のアカウントを取得するには、このページにアクセスして、「30日間無料トライアル」をクリックして、手順に従う。今回は、トライアル版のアカウントを使ってみた感想。

さて、今回、ふと温泉旅行に行くことを思いついたので、そのついでにちょっとしたフィールドワーク(といってもほぼ写真を撮るだけ)をすることに。行き先は石川県の加賀市で、学生時代に入っていたサークルの、1回生のときの調査地だった場所。11年ぶりの訪問になる。調査の対象は、そのときの調査・研究対象だった、片山津と山代の温泉旅館で、事前にネット(楽天など)で調べたうえで、現存するもの、休廃業したものなどの写真を撮り、その他現地の状況を記録することにした。

事前の作業として、

1. ArcGIS Desktop(ArcInfo)で、ファイルジオデータベースを作成し、情報を保存するフィーチャクラス(ポイント、ライン、ポリゴン)を作成しておき、それぞれにアタッチメントが添付できるように設定した。アタッチメントを添付できるようにすると、iPadやAndroidなどでその場で撮影した写真を、個々のポイントなどに関連付けることができる。ただし、その設定にはArcEditorかArcInfoライセンス(10.1からはStandardかAdvanced)が必要。
2. そうして準備しておいたデータでmxdを作成し、ArcMap上からOnlineにアップロードしたうえで、Onlineのマイコンテンツ一覧から、フィーチャサービスを作成しておき、新しいマップを作成して、作成したフィーチャサービスをレイヤとして追加しておいた。
3. このマップを、自分の無料アカウントが入っているグループ(グループのオーナーは組織向けアカウント)で共有させて準備完了。

そして思い出の旅(笑)に出かけた。運悪く寒波到来の日で、寒いし雨も断続的に降るので、iPadなどを使ってフィールドワークには悪条件だった。それもあるけれども、iPadでフィールドワークというのは少ししんどいと感じた。

理由1. iPadで写真を撮るのは面倒。iPadを対象物に向けて写真を撮るのはけっこう重たいのでしんどい。iPad miniぐらいがちょうどいいかもしれない。
理由2. 野外では少々画面が見にくい。

例えば、これなんかを使って首からぶら下げれば、多少状況は改善されるだろうけれど、アタッチメント用に写真を撮る際の手間を軽減することはできない。もちろん、デジカメで写真を撮っておいて、あとでPCからブラウザ経由で写真だけアップロードという方法もあるけれど、せっかくの機能がもったいない。iPad miniならもう少しましな感じだけれど、ヨドバシで見ただけで、まだ現物は持っていない。というわけで、現地では主にAndroidスマホを利用した。画面は小さいものの、ArcGISアプリの機能は同じなので、そんなに問題はなく、写真撮影も簡単だった。Android搭載のデジカメとかなら(これとか)、カメラ1つだけで、よりきれいな画像を撮りつつ、ArcGIS Onlineにデータをアップできるかもしれない。

iPadは、ラインやポリゴンのように点をたくさん打つ必要があったり、少し広い範囲を表示しておく必要があるときに便利。なので、宿に帰った時とか、食事時とかに調査ルートを記入したりするのに使った。

旅行から帰ってから、データを見ようとArcGISからアクセスすると、10.0からは残念ながらデータが見れなかった。というわけで10.1が入ったマシンで閲覧。特にデータのチェックイン・チェックアウトをしなくても、編集したそばからデータが閲覧できるのは非常に便利。

ArcMap 10.1での表示

ArcMap 10.1での表示

ローカルに保存したければ、通常通りの手順で、シェープファイルやジオデータベースにエクスポートできる。ただし、アタッチメントを含めたままでデータをエクスポートするのはできない雰囲気で、こちらの環境のせいかもしれないが、Esriのフォーラムを見る限りでは、まだできない機能のようだ(米国Esri社員によるこのスレッドの最後の発言によれば、エクスポートや手動での更新よりもデータの同期に重きをおいているので、しばらくその機能は搭載されないとのこと)。この部分は非常に残念。もうすぐ組織向けアカウントの期限が切れるので、アタッチメントの写真を1つずつローカルに保存しておくはめに(携帯にもデータはあるので絶対に必要というわけではないけれど)。

ちなみに、今回の作業は、ArcGIS Serverでもできる(はず。同じ実験はしていない)。もしArcGIS Serverを運用できる環境下であれば、無理にArcGIS Onlineを使う必要はないかもしれない。クレジットを消費してしまうし。ただ、組織向けアカウントがあれば、Esri Maps for Officeが使えるので、ArcGIS Serverも運用できる環境なら、組織向けアカウントはEsri Maps for Office専用にして、データ共有・編集はServerで、という使い分けがよさそうだ。

もうすぐトライアル版のアカウントは期限切れなので微妙だけれど、もし大学でのアカウントが使える状況になるのであれば、Esri Maps for Officeについても何か感想を書きます。温泉街の現状・変化についても、データをもう少し整理して何か書く予定。

1件のコメント to ArcGIS Online 組織向けプランの感想①iPadとスマホでフィールドワーク

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